テニススクールで一緒だった友人の話です。
彼女はそれまでの恋愛にあまりいい思い出がなかったようで、恋バナもしないし、恋愛ドラマも恋愛小説にも見向きもしませんでした。
ところがネットで見つけたテニス仲間募集の掲示板で知り合った男性と付き合うことになってガラッと変わりました。
彼女は四年制大学卒業で、都内の会社に勤務するOLです。
彼は高校卒業で、鉄道会社に勤務しています。夜勤や土日出勤もあるガテン系の仕事です。
接点のなさそうな二人ですが、テニス仲間募集の掲示板で知り合い、テニスという共通点があったことで、いきなり付き合うことになりました。
私も一緒にテニスの練習に行ったのですが、どこで気があったのかよくわかりませんでした。
彼のペースに彼女が引きずられているようですが、彼女もまんざらではなさそうです。
私は両方の携帯電話の番号を聞いていましたが、ある時は「今日のテニススクール休むから」って連絡を彼の携帯から私にかけてきたこともありました。
つまりは彼のところに泊まって戻れなくなってしまい、テニススクールの時間に間に合わないということでしょう。
毎日のようにふたりは会っていました。毎日会うということは毎日バイバイと言うことであり、それが辛くなってしまったふたりは同棲をすることにしました。
彼女は結婚制度を嫌っていたため、同棲することにしたのです。
アパートを借りるためには、不動産屋に「婚約してる」と言う必要がありました。
どうすれば、婚約であるか知らなかった二人は私に聞いてきました。
私が婚約指輪が一番簡単だよと言うと、「婚約指輪と結婚指輪の2つもいるなんて、バカみたい」と言い出す始末。
だんだん私はあきれてきました。
彼女は引っ越すことで最寄りの駅が変わりました。
勤務先に届けて、定期券を購入してもらう必要がありました。
小さな会社でしたが、口頭での申請が出来なかったので、彼女の名前で婚姻届けを出し、新しい住民票を会社に提出して定期券を購入してもらいました。
その後でペーパー離婚しました。そこまでするのかと疑問に思いました。
彼女とふたりで出かけた時は、彼からの電話がひんぱんにあり、地下街を通ると電波が届きにくくなるので、地下街は通らないでと言われました。
今、彼からの電話を切ったばかりなのにです。
だんだんと私はふたりと距離を置こうと考えました。
やんわりと「それはどうかな」などと言ってもちっとも気が付かないので、直接言っても無駄だと思ったからです。
電話やメールが来ても最低限のレスにとどめました。
しかし、ちっとも気が付いていないふたりはいつも彼女と私で行っていた花火大会に3人で行こうと言ってきました。
ラブラブなふたりの様子を見せつけられても困るので、丁重に断りましたが、ふたりは全く気が付いていませんでした。
ふたりは周りの友人や知人にラブラブぶりをアピールしていましたが、籍を入れるわけでもなく、結婚式も新婚旅行もなく、親に挨拶することもありませんでした。
まるで、おままごとのようだと感じました。
中居 賢匠
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