彼女がモテない理由は、何といってもその容姿に原因がありました。お世辞にも美人とは言えない顔。いわゆるブスです。
髪型はおさげ。髪質も悪く、真っ黒で剛毛。スタイルはぽっちゃりで、おまけに筋肉が多くがっしりして見えます。
手足の毛も濃くて、剃っても毛根部分が黒く残っていて、気の毒なほどです。
しかし彼女のすごいところは、それでひねくれたりせず、器量が良いというか、性格も優しい、そして何より明るいのです。
彼女は人気者です。しかし人気者といっても「同性」からのみ。頭も良く、面倒見の良い彼女は学級委員にもなりました。
彼女はとてもいい女です。でも、それも同性であるわたしから見たらの話です。
ひどいことに、彼女のことが大好きな私は、彼女が男性から好かれるなんてことは、これっぽっちも考えていなかったのです。
どこかで、恋のライバルになる可能性ゼロとして、バカにしていたのだと思います。
社会人になって、わたしは恋も仕事も一生懸命でした。でもどちらも、うまくいかないことがほとんどで、彼氏から別れると言われても、すがりつき泣いて別れないでほしいと懇願していました。
仕事というと、夜遅くまで、車でドライブを繰り返して遊び続け、翌朝寝不足で会社を休むということが定番になる不真面目加減です。
何もかもうまくいっていないわたしはモテないよりかはマシ、いや、モテているからこそ、こういう出会いがあるのだと、そんなバカなことを考えていました。
そんなとき、彼女と久しぶりに会うことになったのです。
そもそも何で彼女と会おうという気になったのか?わたしは彼女が大好きです。
でも、それだけじゃない。とても恥ずかしいことですがこんな風に考えていたのだと思います。
悲惨な恋愛、仕事もやる気ない、そんなダメダメな毎日の中で彼女にだけは勝っている。彼女は恋愛とは関係あるところにすらいない。
ポカポカ陽気の中、待ち合わせ場所に彼女が太陽のように眩しい笑顔でわたしの前に現れました。一方わたしは、露出しすぎな格好をしてスレた女感をぬぐいきれず。
そんなわたしを見ても彼女は昔と変わらず、朗らかに話してくれ、わたしもそのうち段々楽しくなって、時間も忘れて会話を楽しんでいました。
しかし話の途中で彼女が思いがけないセリフを言ったのです。「彼氏ができたんだ」嬉しそうにいう彼女とは対照的に、凍りつくわたし。
そこからはなぜか、会話の内容が頭に入ってこなくなり、彼がどんな人なのか、ちゃんとした人なのか、そもそも付き合っているのか、大事なことを聞きそびれてしまいました。
「すごくイケメンらしい」「同じ会社の人で彼からアプローチしたらしい」「彼女が好きすぎて友達に相談するほど、彼女にぞっこんらしい」。
そんなことを人づてに聞きました。
彼はいわゆるブス好きな「B専」と呼ばれる男性らしい。そんなことも聞きました。「もっと他におるやろう」そう何度も友達から彼は言われたそうです。
相変わらず不毛な恋愛をしていたわたしは、理不尽なことに、それを聞いても信じられない、裏切られたという気持ちでいっぱいでした。
でも、時間が経つと、そのうちわたしのようにすぐに彼から別れを切り出されるに違いないと都合よく考えるようになりました。
でも彼女は違ったのです。彼女は結婚をしました。その彼と22歳の若さで。
モテなくてもいいのです、たった一人、好きな人から愛されれば・・。彼女の場合は、愛される人と出会いさえすればよかった。
その時のわたしの衝撃と言ったら、とても言葉には言い表せません。
結婚式の彼女はとても輝いていました。彼女は幸せを掴み取ったのです。
中居 賢匠
最新記事 by 中居 賢匠 (全て見る)
- バツイチだけど結婚したい!バツイチの人の再婚率が高いこと知ってましたか? - 2023年5月21日
- 40代で結婚に焦りや不安を感じている女性に伝えたいこと!諦める必要ない理由と根拠 - 2023年5月13日
- 【アラフォー40代女性に告ぐ】彼氏がいないけれど、結婚を目指してあなたが行うべきこと! - 2023年5月4日