知り合った学生時代からプライドが高い女性がいました。
それなりの容姿で同性から見ると素敵な女性だったのですが、とにかく気が強く、自分の意見をハッキリと言ってしまい周りを困惑させてしまうようなことが多くありました。
そのため男性からモテることもなく、彼氏ができる気配は全くありませんでした。
しかも、彼女は男性に対する理想が高すぎて、全く手が届かない相手にばかり恋をしていたのです。
おしゃれで高級なお店で働いている美容師さん、妻子持ちのダンディな教授、彼女には全く興味がない先輩、などなど、現実的ではない恋ばかりでした。
周りの友達たちが彼氏を作り、カップルになっていくなか、少し焦っているようにも見えましたが、プライドの高さから素直に相談することもなく、合コンに行っても強気なスタイルを崩さず、結局、学生時代には一度も彼氏ができることなく卒業を迎え、社会人になりました。
新社会人として忙しくしているなかでも、学生時代からの彼氏とうまく続いている人、新しく彼氏ができる人、嬉しい報告もチラホラありました。
そんななかでも、保険会社に就職した彼女は相変わらず彼氏ができないまま、毎日仕事に奮闘しているようでした。
ただ、女性ばかりの職場で、慣れない仕事に疲れてきた彼女もさすがに弱気になり、本気で彼氏が欲しくなったようでした。
初めて「彼氏が欲しい」という相談を受けたのです。
しかし、彼女に紹介できるような男性の知り合いはなく、彼氏の友人を紹介することは勇気が必要でした。
彼女のことを気に入ってもらえるような男性がいるのか、正直難しいと思いました。
彼女は何人かに相談していたようですが、友人たちからは同じ理由で渋られていたようです。
さすがに、少し考え方を変えないと現実的に彼氏ができないことをやんわりと伝えました。
彼女はその意見を意外なほどあっさりと受け入れました。
社会人になり、上下関係がある職場で鍛えられるなかで、あんなに強気だった彼女が少し弱気になっていたのです。
今なら大丈夫かもしれないと思い何人か紹介しましたが、なかなかうまくいきませんでした。
自分が妥協さえすればすぐに彼氏ができる、と思っていた彼女でしたが、なかなかできない現実と向かい合い、やっと今までの自分の態度を反省したようで、どうしたら彼氏ができるか、本気で相談されるようになりました。
それでも見た目の理想を言い続けていた彼女を諭し、男性の本質を見ることを提案しました。
合コンに行っても、どうしても派手な男性に惹かれてしまうようで、彼女を誘ってくれる地味な男性には見向きもしていないようでした。
このままでは彼氏ができないとお説教をし、誘ってもらえた男性とのデートを受けるように言ってみました。
お互い楽しく過ごせる男性と出会えたようでした。
初めは全くタイプではないと感じた男性とも積極的に関わっていくことで、本当に選ぶべき人が見えてきたようでした。
社会人になり、考え方を変えることで、時間はかかりましたが、友人に感謝する気持ちも生まれ、別人のように可愛らしくなった彼女にも彼氏ができるようになりました。
中居 賢匠
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